CAの人材育成

航空会社に20年在籍し客室乗務員としてフライトし、教官として年間200名以上の現場の客室乗務員の知識や安全意識の維持、スキルアップに務めてきました。私が携わってきた訓練内容です。

  • 現場の客室乗務員の知識、安全意識の維持
  • 新人育成
  • 休職からの現場復帰
  • 客室責任者資格付与

多くの訓練・教育を実施してきましたがこのような訓練を中小企業にも広められたら「強い組織」になるのではないかと考えています。

目次

客室乗務員の訓練は接客だけではない

客室乗務員といえば接客やドリンクサービスの印象が強いと思いますが、実は訓練のほとんどは緊急事態に備えた訓練です。新人訓練においてはサービスの時間も多少はありますが、最も力を入れているのは「安全意識」をつけること。

空の安全は元々あるものではなく、乗務員が作り上げているものです。「安全は自分達が作る」という意識をつけるには訓練の中で一つ一つの業務がどう人命につながるのかをイメージさせ「日常的な業務」がいかに大切なのか理解させることが大切になってきます。新人訓練においては2ヶ月弱もの期間を使い座学形式で徹底的に安全意識を叩き込みます。

『常に最悪を考えて動く』ことは客室乗務員にとっては必須のスキルです。

CAの人材育成は特殊ではない

飛行機という特殊な環境で働く客室乗務員ですが、その訓練は決してその環境の特殊性だけで成果を上げるものではないと思っています。「安全にお客様を目的地へ連れていく」ことを最大の目的としている乗務員ですが、「安全を作る」ためには操縦技術などのテクニカルな部分はもちろんですが、実はそれだけでは不完全なんです。今の空の安全を支えているのは技術的なスキルに加えて実は「チームワーク」なんです。メンバーそれぞれがリソースとなり主体的に考え意見を出し合い、チームとして最善の意思決定をする。このようなことはどんな組織にとっても必要なことではないでしょうか?AIの発達や超高齢化社会、感染症や自然災害による予期せぬことを乗り越えていくためには一人一人の力を引き出しチームとして最善の決定をしていくことが必須と言えます。航空業界ではパイロットを含めこのような訓練を毎年受講することが国から義務付けられています。

誰が正しいかではなく何が正しいかで判断する

航空業界で働く人の間では「誰が正しいかではなく何が正しいかで判断する」ことが浸透しています。「たとえ機長でも、上司でも先輩でも間違っているのなら提案するべき」という考え方が根底にあります。そして提案を受けたらどんなに初歩的な質問でも真剣に答えるということも。

これは安全を守るためにはとても大切な考え方です。主体的に考えることができる人が集まる組織はどんな困難をもしなやかにくぐり抜ける強いチームになります。しなやかであること・折れない力をレジリエンスと言いますがこの「レジリエンスの醸成」が今注目されています。まさにレジリエンスを醸成する訓練が航空業界では早くから確立されていたのです。

最後に

ここまで読んでいただきありがとうございます。客室乗務員の訓練を業界だけで留めるのは非常に勿体無いと感じています。このノウハウが中小企業でも実践されることで来たるべき未知の世界へ向けて安心して生活できる日本になるのではと強く感じています。私の経験が『強い組織作り』に貢献できると嬉しいです。

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